火災保険の請求で保険会社が支払う保険金額を決定する際に重要になってくるのが「見積書」です。
適正な見積書が提出できていないと、保険の審査が長引いたり、場合によっては火災保険が認められず、保険金を受け取れないことも考えられます。
「見積書に決まった書き方はあるの?」
「損害保険会社に信頼されるのはどんな見積書?」
「良い見積書を依頼するコツは?」
など本記事では保険会社が教えてくれない疑問点を徹底解説していきます。
これから火災保険の請求を行う方は、この記事を参考に見積書を取る上で大切なポイントを抑えておきましょう。
火災保険請求時に必要な見積書とは?
火災保険を請求する場合、事故の程度を証明するために損害保険会社にいくつかの書類提出を求められ、そのうちの一つに修理見積書が含まれます。
修理見積書とは、損傷部分を現状回復するために必要な修理費用の概算を記載した見積書のことです。
修理見積書は保損害の程度や範囲など、保険会社が損傷状況を把握するために必要としており、災害の程度を証明するために大変重要な書類となるということを知っておきましょう。
その他、火災保険の請求時に必要な書類はこちら。
- 保険金請求書(+被害状況報告書)
- 修理見積書
- 損傷の程度が分かる写真
保険金請求書と被害状況報告書は、損保会社から郵送された書類を提出しますが、その他の書類は自分で揃える必要があります。※請求の内容によっては上記以外にも書類提出が必要な場合があります。
火災保険請求ではどんな見積書を求められる?
損害保険会社は、主に被害状況の写真と修理見積もりの2つの書類をもとに支払う保険金額を算出します。
この時、提出した書類のみでは損傷状態の程度が分からない場合、保険会社の調査員(鑑定人)が実際に損傷部分を確認しに来ることもあります。
そのため、見積書から被害規模を明確に判断できるように修理代金の総額だけでなく、修繕内容の詳細や、部品材料の単価と数量、工事完了までの日程と人件費など細かく記載されていることが理想的です。
修理見積書 修理代総額のみでなく、修理内容・部品材料の数量・単価等の詳細内訳が確認できる修理見積書を取り付け願います。 引用元:三井住友海上「お客さまにご用意いただく書類」
見積書の書き方は決まっている?
結論から言うと見積書の書き方に決まりはありません。
また、保険会社へ提出する見積書はご自身で書くものではないのでご安心ください。修理見積もりは、修理を依頼する施工業者もしくは申請代行サポート業者に依頼をすることで作成してもらうことができます。
見積書の書式等の決まりはありませんが、保険会社が損傷の程度が分かりやすいよう以下のような工事の内容詳細が記載してあれば、スムーズに保険金を受け取ることができます。
- 修理総額
- 修理内容
- 部品材料の単価と数量
- 工事完了までの日数と人件費
- その他特記すべき事項
修理見積りは信頼できる業者に依頼することが大切
記載内容が不十分または明確な判断ができないような大雑把な内容の見積書では、損害保険会社からの信用度は下がってします。
信頼できない見積書であると判断されてしまうと、保険の審査が長引いたり、見積書よりも低い金額になったり、最悪の場合、保険請求自体が認められないもケースもあります。
事業者の見積もりがずさんで少額の保険金しか提示されなかった
見積り依頼した業者に家をくまなく診断され、屋根、雨どい、外壁、外溝など合計約 260万円の見積書が完成した。事業者の指示に従い保険金の申請をしたら、保険会社から調査が入った。保険会社の提示額は 14 万円と、あまりにも見積もりとかけ離れており、保険会社に「見積額には経年劣化の部分が多く、見積もりは信用性にかける」と言われた。
(2020 年7月受付 60 歳代、女性)
引用元:独立法人国民生活センター「事例3」
適正な見積書の作成を業者へ依頼する3つのコツ
これまでの内容からも保険請求において、いかに見積書が大切になってくるかがお分かりいただけたかと思います。
しかし、いくら適正な見積書の知識を持っていたとしても、見積書は自分で作成することはできないため、見積書を作成する業者の協力が不可欠となります。
ここでは、損害保険会社の信頼度が高い見積書を業者に作成してもらうための3つのコツをご紹介します。
- 保険会社へ提出する見積書であることを事前に伝えておく
- 調査&見積り無料の業者へ複数依頼する
- 見積書が安すぎる業者へは依頼しない
詳しく解説していきます。
保険会社へ提出する見積書であることを事前に伝えておく
保険会社に提出する見積書は通常の見積書とは異なります。
そのため、見積書を依頼する際には保険会社へ提出する旨を事前に伝えておくことが大切です。保険会社へ提出したことのある実績のある業者であれば、保険審査が通りやすい形式で見積書を作成してくれます。
調査&見積り無料の業者へ複数依頼する
修理見積もりを取る際には、無料で行ってくれる会社に複数依頼しましょう。複数の業者に依頼し、見積書を比較することで修理費用の適正相場が分かります。
修理費用相場を知れば、どの業者が適正価格の見積書であるかが分かり、記載内容のより丁寧な見積書を選ぶことができます。
ただし見積書の依頼の段階でも、高額な作業料金を請求する悪徳な業者もいるので十分注意しましょう。
【トラブル事例】
台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された。仕方なく支払ったが納得できない。
引用元:独立行政法人国民生活センター「相談事例」
見積もりが終わった後に費用が必要なことを知ってしまった場合には、上記例のように泣く泣く支払うはめになってしまうので、見積もりを依頼する時には必ず調査費用が無料であるか事前に確認してくことが大切です。
見積書が安すぎる業者へは依頼しない
複数の見積書を取った場合、ついつい最安値の業者へ頼みたくなりますよね。
しかし、修理見積書が相場よりも安すぎる業者には注意が必要です。
修理見積もり内容が安すぎるということは、安い資材を使っている、人件費を削るなどが考えられ、欠陥工事の可能性もあります。
さらに、資材を安価なものを使って総額を安く抑えても、保険会社は被害が少なかったのだと判断され、受け取れる保険金が少なくなるだけです。見積書は安ければ安いほど良いという訳ではありません。
まとめ
損害保険会社は、修理見積書の記載金額を基準金額とし、支払う保険金額の決定を行います。
そのため、見積書の金額は安すぎず、高すぎないことが大切です。しかし、工事費用の適正価格など見積書の適正内容を素人が判断することは難しいでしょう。
損害会社に評価される見積書を提出するためには、信頼できる業者に依頼し、本記事でまとめた「適正な見積書作成を依頼するコツ」を参考に相場通りの適正金額かつ明確な工事内容を記載している見積書を作成してもらうようにしましょう。