外壁塗装は火災保険が使える?保険適用条件や修理費用の相場について

家を守るために欠かせないのが外壁の塗装です。塗装が剥がれていたり、ひび割れた外壁を放置していると、さまざまな問題を引き起こす原因となってしまいます。

足場を必要とする外壁塗装では、修理費用が高額になる傾向にありますので、火災保険を利用することをおすすめします。とはいえ、すべての外壁塗装が保険適用になるという訳ではありませんので注意が必要です。

そこで本記事では、これから外壁塗装を検討している方に、外壁修理の相場や火災保険を使える条件について、分かりやすくまとめています。ぜひ参考にご覧くださいね。

外壁塗装とは?

外壁塗装とは、建物の外壁で劣化している部分を補修し、外壁に新たな塗料を塗装することです。

外壁塗装を行う主な目的としては以下の2つがあります。

  1. メンテナンスのため
  2. 損傷した箇所の補修工事のため

それぞれの目的によって得られるメリットが異なります。

1.メンテナンスのため

外壁の塗料には、防水・防カビ・防虫・耐熱・耐久加工などが施されており、外壁を守る大切な役割を担っています。

しかし、家の外壁は、365日24時間常に紫外線や雨、風にさらされているため、目に見えないレベルで日々、塗料は剥がれていき、防水・防カビといった外壁を守るための保護効果が薄れていきます。

もしも塗装による保護機能が完全に失われると、外壁から水が染み込んだり、ヒビや傷み、カビの発生、などさまざまな問題が発生してしまいます。

MEMO
外壁塗装の寿命は10年と言われており、外観の美しさに関わらず、10年経過した時点でメンテナンスのために外壁塗装を行うことが推奨されています。

2.損傷した箇所の補修工事のため

外壁の損傷をそのまま放置していると、損傷箇所から雨漏りや腐食といった二次災害を引き起こす可能性がありますので、できるだけ早く補修工事を行いましょう。

外壁塗装の費用相場

外壁塗装をするかを決める際に、知っておきたいのは外壁塗装の費用相場ですよね。

外壁塗装の相場は、塗装面積(坪数)と塗料の種類によっても大きく異なりますが、ここでは一般的な家(30坪〜50坪/120〜200㎡/2階建て)を想定した場合の外壁塗装相場をご紹介します。

外壁塗装の平均金額は約60〜160万

日本の平均的な住宅である30坪の家で全体的な外壁を行うと、約60〜100万円。50坪では100〜160万円ほどが外壁塗装の費用相場になります。

MEMO
坪数が大きければ大きいほど塗装面積が大きくなり、より多くの塗料を必要としますので、塗装費用は高額になります。

外壁塗装では塗装費用以外の費用が高額

外壁塗装が高額になる理由の一つとして、足場を組むことが挙げられます。

しかし高い場所での作業が必要な外壁塗装では、どうしても足場を必要としますし、他が汚れないように養生も必要となりますが、足場と養生の費用だけでも約30〜40万円がかかってきます。

費用を抑えるためには一番安い塗料を選ぶのが良い?

安価な塗料の種類を選ぶことで、塗装費用は安く抑えることができます。

しかし、ここで注意して欲しいのが、安価な塗料を選択すると、保護効果が低い上に耐久年数も短いため、結果的にコストが高くなってしまう可能性があるという点です。

例えば、外壁塗装で最も安い「アクリル系塗料」の施工単位は1,000〜1,800円/㎡ですが、耐久年数は3年〜5年とされています。

一方、最も高い「フッ素塗料」の施工単位は3,000円〜5,000円/㎡と、アクリル系塗料の約3倍の値段にはなりますが、耐久年数は15〜20年です。

アクリル塗装を選択した場合、15年〜20年の間に4〜5度の塗り替えが必要ですが、フッ素塗料は一度の塗装で済むため結果的にフッ素塗装を選択した方が安くなります。

注意
安易に塗装費用が安くなるからという理由だけで、最も安価な塗料を選ぶのはおすすめできません。

外壁塗装で火災保険が使える適用条件3つ

数十万〜数百万円もの費用を必要とする外壁塗装ですので、ためらってしまう人が多いのも事実です。そこで提案したいのが、火災保険を利用した外壁塗装です。

基本的には以下の3つの条件に当てはまっていれば、火災保険を利用して外壁塗装に必要な費用を大幅に抑えることが可能です。ご加入中の火災保険が対象となるかチェックしてみましょう。

自然災害など突発的な原因であること

一つ目の条件は、外壁塗装を行う目的が、予測不可能な自然災害や突発的に起こった事故が原因による修理であることです。

MEMO
予測不可能かつ突発的に起こる自然災害や事故とは、火事や大雨、大雪、台風、飛来・衝突等によって外壁が損傷した場合のことを言います。

損害から3年以内の請求であること

火災保険が適用されるのは、3年以内に発生した損害に対する補償のみということが保険法によって定められています。

注意
3年を経過すると、その部分に対する補償は失効となり、火災保険適用対象の外壁塗装であっても請求することはできなくなるので注意しましょう。

適用期間についての詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

火災保険の適用期間|適用開始日や請求期限をわかりやすく解説

外壁塗装費用が免責以上であること

火災保険では加入の際「免責金額」を決めます。

免責金額とは、保険金支払いとなった場合に損害額から差し引く金額のことで、免責金額は自己負担額と言い換えることもできます。

例えば、修理箇所のみの外壁塗装のためにかかった修理費用は8万。一方で免責金額が10万円だった場合、10万円以内の損害は自己負担となるため、請求しても保険金をもらうことはできません。

つまり、自己負担額である免責金額以上の外壁塗装費用がかかる場合のみ火災保険は適用となります。

外壁塗装で火災保険が使えないケース

残念ながらすべての外壁塗装で、火災保険の補償が使えるのではありません。その違いを理解するために、外壁塗装で火災保険が使えない事例を見てみましょう。

メンテナンスのための外壁塗装

外壁を保護するために定期的なメンテナンスはとても大切なことです。しかし、損傷がなく、単なるメンテナンスのための外壁塗装では、火災保険を使うことはできません。

築10年以上経過している色褪せや剥がれ

外壁に損傷がある場合でも、築10年以上経過した場合に発生した塗料の色褪せや剥がれなどはいわゆる「経年劣化」が原因であり、火災保険の対象外です。

MEMO
築10年以上経過している住宅でも自然災害や事故による損傷があった場合の外壁塗装は火災保険を使うことができます。

新築での外壁塗装の剥がれ、塗り漏れ等

新築時に見つけた外壁塗装の剥がれや塗り漏れ等を補修するための外壁塗装は、工事業者の人的過失であり、火災保険ではカバーされません。

注意
新築時点での欠陥は、工事業者が負担すべき内容です。あくまでも火災保険は、突発的な事故や災害を補償するための保険であり、人的過失は補償対象外です。

詐欺に注意!「外壁塗装が無料」の文言は危険

国民生活センターによると、2019年から2020年にかけて火災保険を使った詐欺被害に対する相談件数は約2倍になっており、その件数はさらに増加の傾向にあります。

特に外壁の損傷は、経年劣化によるものなのか、自然災害によるものなのかを損害保険会社でさえも見分けることが非常に難しい上に、修理費用が高額になるため、外壁塗装を使った保険金詐欺が多く発生しています。

では、実際の相談事例を見てみましょう。

インターネット広告で見つけた事業者に勧誘を受けた

 「火災保険を使って屋根や外壁の工事の見積もりをする」とのインターネット広告を見つけ、事業者へ連絡を取ったところ、後日自宅に来訪することになった。訪問した事業者から「修理代を上回る保険金が受け取れる。手数料は40%だが損はない」と言われ、損がないならばと契約することにした。受け取った書面には、修理箇所と損傷の程度を判断して見積もりを作成するサービスで、保険金が下りたらその40%を事業者に支払うと書いてある。よく考えると、保険会社の査定が見積もり通りとは限らないと思い、解約を申し出たが、解約できないと言われた。どうすればいいか。

(2021年4月受付 60歳代、男性)

国民生活センター

火災保険で請求できるのは、損害補填するための修理費用であり、「修理代金を上回る保険金が受け取れる」ものではないことを知っておきましょう。

注意
そのつもりはなくとも、知識がなければ知らず知らずのうちに、詐欺に加担していることもありますので、「修理が無料でできる」「保険金を多くもらって得ができる」などといった甘い文言にはくれぐれも注意しましょう。

まとめ

自然災害が原因による修理が目的の外壁塗装は、火災保険を使うことができます!修理相場は60〜160万円と大変高額な外壁塗装ですので、火災保険をうまく活用していきたいところです。

とはいえ、外壁は保険請求の判断が難しい箇所でもありますので、自分で保険金を請求することが不安な方は、火災保険の申請サポートを利用するのがおすすめです。

火災保険は適切な場面で適切な保険金を請求を心がけましょう。