火災保険申請サポートの悪徳業者に注意!正しい相場を知ってトラブル被害を回避しよう

複雑な手続きが必要な火災保険の給付金請求をする際には、申請サポート業者を利用することがおすすめです。

しかし近年の自然災害の増加に伴い、火災保険を利用して高額な料金を請求してくる悪徳な申請サポート業者が増えています。

実際に全国の消費者センターへ寄せられている「火災保険が使った住宅修理」に関するトラブルの相談件数は、2010年度111件だったのに対し2019年には2,684件と約24倍※に増加しました。

ここ数年で特にトラブル件数が増加していることから国民生活センターでは、住宅修理を行う施工業者や火災保険の申請サポート業者からの勧誘や契約には、特に注意するよう呼びかけています。

本記事では、そんな悪徳な業者に騙されないよう過去にあった被害事例からトラブル回避方法までをご紹介します。

参照元:独立法人国民生活センター「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスの年度別件数

火災保険の申請サポート業者とは

火災保険の申請サポートとは、火災保険を請求する際に必要な書類作成から受け取りまでの過程を専門知識を持ったプロに手伝ってもらうサービスのことをいいます。

火災保険を請求時には、どこまでの被害を申請することができるのか、どんな書類をどのように書けば保険が通りやすいのか、など火災保険に対する専門知識がなければ判断できない疑問点がたくさん出てきます。

また、時間をかけて準備をしても書類に不備があったり、信頼性のないものと判断された場合には、保険が認められない場合もあります。さらには、保険金相場を知っていなければ、実際に受け取った金額が適正な金額であるかどうかも分かりません。

一方、火災保険の申請サポートを利用すると、保険請求のプロによる正しい知識と賢い制度の利用で本来受け取ることができるはずの適正な金額をスムーズに受け取ることができます。

プロのサポートを受けることで保険会社に信頼される書類を準備することができるため、自分で火災保険を申請するよりも保険申請が認められやすくなり、受給できる額が高くなると、利用者が増加しています。

その他のメリット・デメリットなど申請サポート業者の詳細はこちらの記事をご覧ください。

火災保険は自分で保険金請求するより専門業者に任せた方がいい?

火災保険申請サポートの手数料相場は?

火災保険の申請サポートを受けるためには、業者へ支払うサポート手数料が発生します。

火災保険申請サポート業者の手数料相場は支払われた保険金のおおよそ30〜40%と考えておきましょう。

一般的に成功報酬制度を採用している業者が多く、成功報酬制の場合は、契約金や調査費用など申請の段階で費用がかかることはありません。さらに万が一、保険金が受け取れなかった場合には費用がかかることはありませんので安心してサポートを受けることができます。

MEMO
手数料相場は、信頼できる業者であるかを見極める上で大切な判断材料となります。申請サポート業者を選ぶ際にはこの手数料相場を頭に入れておきましょう。

悪徳な火災保険申請サポート業者とは?

電話セールスや直接訪問で「保険申請を完全代行します」や「タダで修繕できます」などと甘い言葉をかけ、火災保険に無知な人や高齢者を狙って保険金詐欺を働こうとする悪徳な申請サポート業者がいます。

悪徳な火災保険申請サポート業者には以下のような特徴があります。

悪徳申請サポート業者に多い特徴
  • 支払われた保険金の50%を超える手数料の業者
  • 初期費用や調査費用、キャンセル料費用などが別途かかる業者
  • 火災保険の申請を代行しようとする業者
  • 電話セールスや直接訪問で「タダ」を強調する業者

このような特徴を持つ業者へ依頼してしまうと、のちに法外な費用を請求する悪徳業者である可能性がありますので十分に注意しましょう。

自然災害に便乗した悪徳商法は特に注意!

火災保険を利用した悪徳業者に関する消費者センターへの相談が後をたたないため、国民生活センターでは消費者へ以下のように忠告しています。

ご用心 災害に便乗した悪質商法[2021年8月20日:更新]

地震、大雨などの災害時には、それに便乗した悪質商法が多数発生しています。悪質商法は災害発生地域だけが狙われるとは限りません。災害に便乗した悪質な商法には十分注意してください。特に最近は「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」と勧誘する手口について、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。

引用元:独立法人国民生活センター「ご用心 災害に便乗した悪質商法

注意
一年の中でも台風被害の多い10月前後の秋台風シーズンには、特に被害件数が増加する傾向にあります。9〜11月の自然災害後に電話や訪問などで「火災保険が使えますよ」と勧誘してくる業者には特に注意しましょう。

悪徳業者のトラブル事例と回避方法

悪徳業者との具体的なトラブル内容はどのようなものがあるのでしょうか?

過去に実際あった悪徳業者とのトラブル事例とともにその回避方法をご紹介します。

事例①:保険金の5割を超える高額な違約金を請求された

キャンセルを申し出ると解約金や違約金、コンサルティング料金などと称して高額な料金を請求される被害事例があります。

【被害事例】

契約時に高額な違約金に関する説明がなかった

令和元年秋台風の影響で雨漏りをしていたところに、事業者から「火災保険の保険金で修繕が できる」と電話があり、訪問を受けた。事業者が屋根の損傷箇所を撮影し、約 400万円の工事見積もりを出した。保険申請は事業者がすべて行ったが、「自分たちの存在は保険会社に伝えないで ほしい」と言われ、少し不審に思った。その後、保険会社の鑑定人が家を診て、見積金額全額は出ないと言われた。契約時に違約金の説明はなかったが、書類をみたら工事をしない場合は違約金として保険金の5割を支払うと書いてあり、悪徳商法にひっかかったと思った。契約をやめたい。

(2020 年6月受付 40 歳代、男性)

引用元:独立行政法人国民生活センター「相談事例【事例1】」

上記例のように契約前には違約金等の十分な説明がなく、工事を依頼しないことを申し出ると高額な手数料を請求される被害が多発しています。

【回避方法】

修理費用の見積もりを取ったら、何にどのくらいの費用がかかっているのかをきちんと把握し、キャンセル費用や見積り料金など必要な費用の総額を事前に提示してくれる業者を選ぶようにしましょう。

事例②:意図的に壊して保険金を水増し請求

火災保険の申請を代行し、ありもしない架空の修理内容または意図的に壊すことで保険会社をだまし、保険金の水増し請求を行う悪徳業者がいます。

【被害事例】

工務店に壊れていない瓦を外す細工をされ「黙っているように」と指示された

令和元年秋台風の後にハウスメーカーの下請けの工務店が訪ねてきて「瓦が飛んでいる。保険金の範囲で修理ができる。申請の手伝いもする」と言われ、了承した。保険をおりやすくするためか、工務店が壊れていない瓦を外して「黙っているように」と言い、保険鑑定人の立会い時に は「家から出るな」と指示された。さらに立会い代 18 万円も請求された。見積もりや保険会社との手続きはすべて工務店が行った。保険金約 150 万円と見舞金 30 万円が出たが、すべて工務店に支払わされた。屋根工事は行われたが、なかには地面に落ちて壊れた風よけをただ付け直しただけで費用を請求されたものもある。他にもずさんな工事や不当な請求項目があるので、一部返金してほしい。

(2020 年4月受付 70 歳代、女性)

引用元:独立行政法人国民生活センター「相談事例【事例2】」

劣化による損傷は火災保険の対象とはなりません。もちろん故意の損傷は適用外です。上記のように偽装した内容で保険請求を行った場合、保険契約者本人も詐欺に加担したとみなされ、詐欺罪(刑事罰)に問われることもあります。

【回避方法】

保険会社に「嘘をつくように」と言われた場合や「保険請求を代行する」と言われた場合は100%悪徳業者です。絶対にそのまま保険請求をしてはいけません。必ず保険請求する前に契約している保険会社へ相談するようにしましょう。

まとめ

悪徳業者は、さまざまな手口を巧みに使って消費者と保険会社を騙してきます。トラブルに巻き込まれると被害額は、数十万〜数百万円と高額になる傾向にあります。

このような被害を回避するためには、申請サポート業者へ依頼する際、手数料の適正相場や悪徳業者の特徴を知っておくことが大切です。

電話や訪問で勧誘されたとしてもその場で契約せず、複数社比較するなどをして、慎重に検討するようにしましょう。