火災保険補償額の正しい決め方は?補償額平均相場まで分かりやすく解説!

いま加入している火災保険の補償額は適切ですか?

火災保険の補償額が多すぎると、保険料を無駄に払いすぎることとなります。一方で少なすぎる場合は、実際に被災した際の保険金が十分ではないために修繕費を自腹で支払わなければなりません。

火災保険は適切な補償金額に加入することが大切です。

とはいえ、補償額の適正値はさまざまな要因によって異なります。

そこで本記事では、火災保険補償額の正しい決め方から平均補償額相場まで分かりやすく解説していきます。

この記事を読めば、補償額の決めた方にもう迷わないはずです。ぜひ最後までご覧くださいね。

火災保険の補償額とは?

火災保険の補償額とは「建物」もしくは「家財」に被害があった際、支払われる保険金額の上限(支払限度額)のことをいい、保険加入時に決めておく必要があります。

万が一の場合、修繕や再調達する費用を補償する上限金額となりますので、十分な補償を受けるためにも適切な評価額に基づいて補償額を決めることが大切です。

「建物」と「家財」の補償額は別で設定する

 一般的に建物の補償額は、建物の価値を算出した建物評価額を基準に決定します。

一方、家財の補償額は家族構成や年齢から平均的な家財保有金額を割り出した保険会社のデータを元に決定していきます。

「建物」と「家財」は補償対象や決定基準が異なるため、補償額は別々に設定する必要があります。

評価方法は2種類

火災保険の補償額を決定するには、まず建物評価額を知る必要があります。

評価額を知るための算出方法は以下の2種類があります。

  • 新価(再調達価額)
  • 時価

新価(再調達価額)

日本損害保険協会HPによると再調達価額は以下のように定義されています。

「再調達価額」とは、保険の対象となる「財物」と同等(同じ構造・用途、質、規模など)のものを現時点で再築または再購入するために必要な金額をベースとした評価額です。

損害を受けた建物や家財と同等の新品を再度調達する際にかかる費用のことを新価(再調達価格)といいます。

引用元:日本損害保険協会

現在の火災保険では「再調達価額」が建物評価額の主流となっています。

時価

一方で時価は、以下のように定義されています。

「時価額」とは、再調達価額から経年・使用による消耗分(減価)を差し引いた金額をベースとした評価額です。

引用元:日本損害保険協会

かつての火災保険では「時価額」で補償額を決めることが一般的でした。

再調達価格(新価)と時価はどちらを選ぶべき?

しっかりカーバーできる補償を持ちたい方は再調達価格、少しでも保険を抑えたいという方には時価による建物評価を選択することがおすすめです。

「再調達価額」と「時価額」の関係を算式で示すと、次のようになります。

時価額 = 再調達価額   −   経年減価額(経年・使用による消耗分)

時価額を選択している場合、年数の経過により建物の価値は下がっていくこととなります。

事故発生時点での評価額が保険金で支払われる金額となるため、保険金だけでは十分でない可能性が考えられます。月々の保険料支払いは安く抑えることができますが、保険金受取時には注意が必要です。

一方で再調達価格を選択している場合、年数経過に関わらず再建築や再調達に必要な金額を保保険金だけでしっかりカバーすることができます。

保険ですべてまかなえると思っていたのに、実際の被害額よりも少なかったといったトラブルもあったため、昨今の火災保険では、新築・新品価格が補償される再調達価格が推奨されています。

火災保険補償額の平均相場をご紹介

補償額を新価による建物評価額を基準に決める場合、最初に購入・建築した費用=火災保険の補償額だと考えましょう。つまり、建物における補償額は新築購入時の金額です。

戸建ての補償額は工事請負契約書や購入費用の証明などを参考に決めると良いでしょう。

一方、家財の補償額は家族構成や保険契約者の年齢によって異なります。世帯主の年齢が高く、世帯に住む人数が多いほど持っている家財の価値は高くなる傾向にあり、その分補償額も高くせて設定する必要があります。

そこでここでは、「家財」を契約している各家族構成と各年齢ごとに比較した平均相場をご紹介します。

MEMO
一般的な補償額の相場は、今加入している補償額は多すぎるのか、少なすぎるのか、といった基準にもなりますのでぜひ知っておきましょう。

「住宅」の平均相場

損害保険料率算出機構が毎年出している統計集をもとに、2019年度に新規契約したマンションや戸建て物件にかけた補償額の中で加入率が多い順に並べてみました。

補償額 新規加入件数
1,000万円〜2,000万円まで 3,288,399件
2,000万円〜3,000万円まで 1,722,068件
200〜300万円まで 1,543,470件

参照:損害保険料算出機構統計集「火災保険 住宅物件 保険金額別統計表<2019年度>」

2019年に加入した全体世帯数の25%が1,000万円〜2,000万円までの間で加入しています。次いで全体の約13%が2,000万円〜3,000万円の間に補償額を設定しています。

3番目に多いのは200〜300万円と大幅に下がっていますが、これは独身層の補償額相場になりますので、ファミリー世帯で火災保険でかけている住宅の補償額平均相場は1,000万円〜2,000万円であると言えます。

「家財」の平均相場

一般的に家財の補償額は、各保険会社が家族構成と年齢統計から算出した簡易評価額表をもとに決めていくこととなります。

今回は損保ジャパンの家財簡易評価表を例にご紹介します。

2名 3名 4名 5名 独身
25歳前後 490万円 580万円 670万円 760万円 300万円
30歳前後 700万円 790万円 880万円 970万円
35歳前後 920万円 1,000万円 1,090万円 1,180万円
40歳前後 1,130万円 1,220万円 1,310万円 1,390万円
45歳前後 1,340万円 1,430万円 1,520万円 1,610万円
50歳以上 1,550万円 1,640万円 1,730万円 1,820万円

引用元:損保ジャパン「家財新価一覧」

しかし、各保険会社が出している簡易評価額表はあくまでも目安なので表の額がピッタリ当てはまるということではありません。世帯によっては少なすぎる、多すぎると感じることもあるかもしれません。

「家財」は自分で補償額を設定できるということも覚えておき、大幅に異なる場合は自分で家財の価値(再調達価格)を算出してみることも一つです。

自身でおおよその再調達価格を計算し、加入する保険会社の簡易評価額表を参考に適正な補償額を決めていくことをおすすめします。

注意
ただし、保有している家財の価値(再調達価格)以上に保険金が出ることはないので、多めに設定しすぎると保険料は無駄になってしまうので注意が必要です

火災保険で正しい補償額を決めるには?

火災保険では、建物評価額より少ない補償額をつけている保険を「一部保険」、建物評価額より多い補償額をつけている保険は「超過保険」と呼ばれます。

一部保険だった場合は、再建築・再調達にかかる費用の全額は支払われず、残りの金額を自分で負担することとなります。

また超過保険だった場合、建物評価額以上の保険金が支払われることはないため、補償額超過分の保険料を多く支払っていることとなります。

どちらも適正な火災保険の補償額とはいえません。

無駄な保険料支払いや実費で支払うこと無く、火災や自然災害等の被害を受けた場合にもしっかりと補償を受けるためには、適正な補償額で加入しましょう。

MEMO
適切な評価額と同等の補償額に加入することが無駄なく正しい補償額を決めるのポイントとなります。

まとめ

今回は火災保険の補償額の正しい決め方をご紹介しました。

「建物」の適切な補償額を決めるために大切なポイントは以下の4つ

  • 所有している建物の評価額を知る
  • 損害をしっかり保険でカーバーしたい人は「再調達価格」による評価額
  • 少しでも保険を抑えたいとい人は「時価」による評価額
  • 建物評価額=補償額に設定する

「家財」の適切な補償額を決めるために大切なポイントは以下の3つ

  • 家族構成と世帯年齢から出した各社の「家財簡易評価表」から評価額の相場を知る
  • 大幅に異なる場合は、自分である程度の家財所有財産を計算してみる
  • 家財の補償額は自分で決められる

いずれの場合も多すぎず少なすぎず適切な補償額に設定することが大切です。

ぜひ、本記事を参考に適正な火災保険の補償額を決めてみてくださいね。