多くの人が加入している火災保険ですが、修繕費用を補填する保険金のほかにも保険会社から「見舞金(臨時費用保険金)」を受け取ることができることご存知でしょうか?
火災保険の見舞金は、修繕費用以外にかかる費用もしっかりとカバーしてくれるので経済負担が軽減でき、とても助かる保険金です。
しかし同時に、見舞金は請求しなければもらえないものであることも知っておかなければなりません。
そこで、本記事ではそもそも見舞金とはどんな制度なのか?どんな条件でどれくらい受け取ることができるのか?といった疑問から見舞金の請求方法までを分かりやすくまとめています。
これまで見舞金を知らず、受け取っていなかったという方も今からでも間に合うかもしれません!まずは、この記事を参考にご自身が該当しているかどうか確認してみてくださいね。
火災保険の見舞金とは?
火災保険の見舞金とは、修理中にかかったホテル代や仮住まい費用など、建物や家財の修理・再建築に伴い臨時に生じる諸費用に対して支払われる保険金のことです。
つまり、通常の保険金に上乗して見舞金が支払われることとなります。
具体的には以下のような費用に充てることができます。
- 修繕・再建までの宿泊費、仮住まい費用
- レンタカー費用
- ケガの治療費
- 迷惑をかけた近隣へのお見舞金や修繕費用
見舞金特約を「臨時費用保険補償特約」や「事故時諸費用特約」と呼ぶこともあり、保険会社によって名前はさまざまなので、自分で契約する際には少し分かりにくいかもしれませんので注意しましょう。
「損害保険金」と「費用保険金」の違い
火災保険には大きく分けて以下の2種類の保険金があります。
- 損害保険金
- 費用保険金
これらは備えられるリスクの内容が異なります。
対象 | 保険金 | 特約名 | |
損害保険金 | 建物・家財 | 損害に対して支払われる保険金 |
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費用保険金 | 建物・家財以外 | ホテルの宿泊費など建物・家財の修繕中にかかるさまざまな出費に対して支払われる保険金 |
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※地震保険に加入している場合
みなさんが認識している一般的な火災保険は「損害保険金」のことで、火災・水災・風災などによる自然災害で建物や家財が受けた被害を修繕・再建築するための費用に備えることができる保険です。
一方、建物・家財にかかった費用以外に備えることができる保険が「費用保険金」です。
上記表の通り、見舞金は費用保険金の一部です。その他にも、がれきの片付けにかかる清掃費用を負担する「残存物取片付け費用保険金」や、近隣へ燃え移った際に第三者へ支払う見舞金等の費用を負担する「失火見舞金費用保険金」なども費用保険金の一部です。
火災保険は通常の損害保険金に加え、費用保険金を付けておくことで、災害に伴って発生する諸費用まで幅広くカバーできるようになります。
どんな時に対象になるの?
見舞金が受け取れるのは、「火災、落雷、破損・汚損、風災、雹(ひょう)災、雪災、水濡れ、物体の落下」など、火災保険で契約している補償範囲内で損害保険金を支払う場合が対象です。
さらに、災害時点で「見舞金特約(臨時費用保険補償特約)」を付けていることも見舞金の受給条件となります。
「見舞金特約」または「臨時費用保険補償特約」を付帯していない火災保険では見舞金を受け取ることができないので注意が必要です。
見舞金の保険料相場
保険会社によって見舞金が最初から火災保険プランに組み込まれてる商品と、希望する場合のみ特約として付帯する商品があります。
見舞金で手厚い補償が受けられることは分かったけど、特約を付けてこれ以上保険料が上がってしまうのは困る・・・。と、見舞金の保険料が気になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は、見舞金の保険料相場は月に150〜200円程度なのです。年間にしても2,000円ほどで、ケガやの治療代、休職分の給与補填、ホテル代や仮住まいの費用から迷惑をかけた近隣への見舞い金に至るまで幅広い費用を補填できます。
火災保険の見舞金はいくら貰える?
受け取り可能な見舞金の金額は保険会社定める内容や加入条件によって異なりますが、一般的には損害保険金額の一律10〜30%を見舞金として受け取ることができます。(※各社規定の上限あり)
受け取れる見舞金の平均相場をご紹介
見舞金は「保険金額の10%(最大100万円)」と定めている保険会社が多いですが、正確な数字を知るには各保険会社の証券や規約などで確認する必要があります。
例えば、ボヤによって建物の修繕300万円かかった場合、損害保険金から修繕費用300万円に上乗せして10%なら30万円が、30%なら90万円が見舞金として支払われます。
見舞金として30〜90万円が修繕費と別途で支払われるのは、とても大きいですよね。しかも、この見舞金は使途自由金とされており、使い道は自由な上になんと非課税です。
修理にかかった費用を補填するために使用するのはもちろんのこと、生活費に使っても問題ないという点も嬉しいポイントですね。
申請しないと受け取れない?見舞金の請求方法
火災などの自然災害で火災保険の請求手続きを行っていたとしても、見舞金の申請を行わなければ受け取れないケースもあります。
修繕費用以外に臨時でどのような費用がかかったかを保険会社に伝えていない場合は、損害保険金のみの請求とみなされてしまうこともありますので注意が必要です。
見舞金の請求方法
見舞金の申請は、火災保険の請求と同時に行うことでより簡単に請求ができます。
通常の火災保険の請求方法と同じですが、最初の申請時に見舞金の申請をしておくことで保険会社は損害費用と費用保険金の2種類の請求が必要だと認識してくれるので、火災保険の保険金と同時に見舞金を受け取ることができます。
火災保険の請求方法について知りたい方はこちらをご覧ください。
火災保険の給付金請求は簡単!自分で行う場合に知っておきたい3つのポイント
見舞金を利用した火災保険詐欺には注意!
見舞金は災害時、とても助かる特約ですがその名前はあまり周知されていません。
そのため「保険に加入していたら見舞金が受け取れますよ!」といった風に見舞金を利用した火災保険詐欺が多発しており、日本損害保険協会でも以下のように注意を呼びかけています。
日本損害保険協会を名乗り「見舞金が出る」などと勧誘する業者にご注意
2019.04.15
最近、日本損害保険協会の者であると称し、「場合によっては見舞金が出る」などと自宅を訪問したり、電話で勧誘する業者がいるとの情報が寄せられています。当協会は、このような業者と一切関係がありません。不審な訪問・電話には十分ご注意ください。不審な勧誘を受けた場合は、すぐにご契約の損害保険会社または損害保険代理店にご相談ください。
引用元:日本損害保険協会
見舞金も他の保険と同様に被保険者自身での請求が必要となってきますので、第三者が請求するものではありません。
保険金の対象だったのに見舞金を受け取っていなかったかも?と感じた場合は、まずは加入している保険会社や代理店に相談することをおすすめします。
過去に請求済みの方でも3年以内であれば、今からでも見舞金を受け取ることができるかもしれませんので、確認してみましょう。
まとめ
見舞金を付けておくことで、火災保険だけではカバーできない建物・家財の修理以外のさまざまな費用を補填できるようになります。
自然災害や被災時には、仕事を休まなければいけなかったり、仮住まいやレンタカーを借りたりと生活の再建に向けて何かとお金が必要になるでしょう。そんな時に保険会社から見舞金が貰えると、とてもありがたいですよね。
月々の負担が数百円で安心を購入できるのであれば、それも家族やお家を守る一つの方法かもしれませんね。
まだ見舞金特約に加入していなかった方や知らなかった方は、ぜひこの機会に付帯することを検討してみてはいかがでしょうか?