知らなきゃ損!?賃貸フローリングの傷が火災保険で補償されるための適用条件を解説

賃貸物件の退去時、傷や汚れなどがある場合には原状回復する必要がありますが、原状回復費用の中でも特に高くなりやすいのが、フローリングの傷やへこみによる修繕費用です。

フローリングは小さな傷でも、フロア全面張り替えとなることもあり、その高額な費用を巡って不動産会社や大家さんとトラブルになるケースも少なくありません。

そんな賃貸フローリングの傷も条件によっては、ご加入中の火災保険でまかなえる可能性があることをご存知でしょうか?高額な修繕費用が火災保険で請求できればとっても助かりますよね。

本記事では、フローリング傷の保険適用条件から請求時の注意点まで知っておきたい情報を分かりやすくまとめています。

万が一の場合にお役に立てる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧くださいね。

賃貸フローリングの傷は火災保険の補償対象?

結論から言うと、賃貸フローリングの傷は火災保険の補償対象となります。

故意ではなく偶然の事故でできてしまった傷であり、日時や原因が明確であることなど、いくつかの条件に該当していれば火災保険を使って賃貸フローリングの傷の修繕費用をまかなうことができます。

「故意的でない」ということを証明することは難しいですが、傷や凹みのある部分の写真をとっておき、リフォーム業者に見積もり、コメントを貰うことで証明することができます。

MEMO
フローリングに傷が付いてしまった場合、その場ですぐに証拠となる写真を撮っておきましょう。3年以内であれば遡って保険請求することはできますが、確実に保険請求をするためには原因や日時など明確に分かっていることが大切です。

フローリングの修繕方法と修理相場

フローリングの主な修繕方法は、既存の床材はそのままに上に重ねて張る「重ね張り」と、既存の床材と取り除いて新しい床を張り直す「張り替え」の2つがあります。

一般的には重ね張りの方が安価になる傾向にあり、1畳あたりの相場は2〜5万円程度。張替えは高くなる傾向にあり、1畳あたりの相場は3〜6万円程度となります。

賃貸物件において、どちらの方法で修繕するかは大家さんの判断となるため、入居者はたとえ高額な修繕方法になったとしても基本的には従うしかありません。

注意

小さな傷であってもフローリング全面張り替えを余儀なくされ、高額な退去費用がかかってくることも念頭に入れておかなければなりません。

火災保険で適用になる条件

賃貸フローリングの傷やへこみのすべてが火災保険の補償対象になるというわけではありません。

事故が起こった時の状況や現在加入中の火災保険の条件によって、火災保険の保険適用が認められるかどうかが決まります。

ご自身の保険内容が当てはまるか、または今後どんな火災保険に加入しておけば安心なのかを知っておくためにも火災保険で補償対象となる条件を知っておきましょう。

賃貸フローリングの傷やへこみが火災保険で適用になる条件
  1. 不測かつ突発的な事故
  2. 故意的でない
  3. 原因や発生日が明確に分かっている
  4. 火災保険の補償対象が「建物」となっていること
  5. 「汚損・破損」の特約を付けていること

それでは、適用条件の内容について詳しく見ていきましょう。

1.不測かつ突発的な事故

火災保険を利用するにあたっては「不測かつ突発的な事故」であることが絶対的条件です。

破損・汚損損害等補償特約

基本補償で補償する事故以外で保険の対象となる建物、家財のそれぞれに発生する不測かつ突発的な事故によって発生した損害に対して保険金をお支払いします。(※1)
なお、お支払いする保険金は保険金額を限度に損害額から免責金額(自己負担額)(※2)を差し引いた額となります。(※3)

引用元:ソニー損保

例えば、子供がおもちゃでフローリングに傷をつけた場合やうっかりモノを落としてしまってへこんでしまった場合など、予想のつかないことが突発的に起こった事故によってできたことが保険適用の条件となります。

2.故意的でないこと

故意的にフローリングに傷をつける人はいないと思いますが、損害保険会社の定める「故意的」というのは少し意味合いが異なります。

例えば、模様替えの際に家具を引きずって移動させ、フローリングに傷がついてしまった場合、必ずしも故意的とは言えないかもしれませんが、傷が付く可能性があることは予想できることなので、これは「不測かつ突発的な事故」とは言えず「故意的な事故」とみなされる可能性があります。

また、兄弟喧嘩などでカッとなってモノを投げて、床に傷がついてしまったケースも「故意的」とみなされるため、保険適用とはなりません。

3.火災保険の適用範囲に「建物」となっていること

火災保険の適用範囲には大きく分けて「建物」と「家財」の2種類がありますが、フローリングは「建物」の中に含まれます。

そのためご契約中の火災保険で「建物」が補償範囲となっていることが条件となります。

4.「汚損・破損」の特約を付けていること

一般的に火災保険の特約は選択性になっており、火災・風災・水災・汚損・破損などさまざまな特約がありますが、フローリングの傷を補償してくれる特約は「汚損・破損」になります。

「汚損・破損」の特約を付帯していることも保険適用になるための条件となりますので、今一度確認しておきましょう。

5.原因や発生日が明確に分かっている

特定の原因と日時が分からないようないつのまにかできていた傷やへこみは「経年劣化」とみなされるため、火災保険では補償されません。

Q.不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)とはなんですか?

A.不測かつ突発的な事故(破損・汚損など)とは、予測不可能な事故(繰り返し同内容の事故が発生する場合を除く)で、事故の原因や事故日がはっきりしている事故です。

引用元:損保ジャパン「商品・補償内容」

火災保険で修繕費用の補償を受けるためには、必ずフローリングにできた事故の発生日とその原因を明確に分かっている必要があります。

MEMO
特に傷ができてしまった原因は保険適用になるかどうかの大切なポイントになりますので、保険会社に聞かれた場合にも明確に伝えられるようにしておきましょう。

火災保険を請求する際の注意点

上記5つの条件に該当している場合は、フローリングの修繕費用が保険でまかなえる可能性が高いので、早速保険会社へ問い合わせてみましょう。

しかし、火災保険を請求する際に注意しておきたい点がいくつかありますので、保険会社へ問い合わせる前に以下の注意点もしっかりと確認しておいてくださいね。

注意点①:免責金額

「汚損・破損」の特約には、免責金額を設定しているケースが多く見られます。

免責10万円と設定していて、修繕費用の見積もりが10万円以下だった場合は火災保険を請求しても保険金が下りることがないので注意しましょう。

火災保険を請求するには、見積もりを取ったり、請求書を作成したりとそれなりの手間と時間がかかりますが折角、それらの書類を揃えても保険が使えないのでは意味がありません。

ご加入中の免責金額を確認し、修繕費用が免責額を上回るかどうか確かめてから保険請求を行うようにしましょう。

注意点②:修繕費用が全額補償されるとは限らない

火災保険はあくまでも原状回復するために必要な最低限の費用を補償するためのものです。

例えば、折角保険が下りるなら今よりも良い材料を使ってフローリングを張り替えようとしても、原状回復以上のプラスアルファの費用の保険金は出ません。

年間多くの事故案件を扱っている損害保険会社ですので、フローリングの素材や傷の程度から必要な修繕費用の相場のデータを持っており、原状回復に必要以上の見積もりを提出したとしても、請求金額すべてが必ずしも補償されるというわけではありません。

まとめ

フローリングの傷についてご紹介しましたが、今回の内容は壁紙や柱など賃貸物件の修繕費用でも同じことが言えます。

退去費用が思いがけず高額になり、まとまったお金が準備できずに困ってしまうなんてこともあるかもしれません。

そんな時は、火災保険でまかなうことができるかもしれないということ知っておきましょう。

火災保険で請求できることを知らなかったために、全額実費で支払っていた。なんてことがないように、本記事を参考にしていただき、火災保険を最大限に活用していきましょう。