火災保険の保険金にも税金がかかる?控除を受けるための申請方法

「もらった保険金に対してどのくらい税金がかかるの?」

「年末調整で申告すると控除を受けられる?」

など、火災保険の税金に関する疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。今回は保険金を受け取った時の税金にまつわる情報をまとめています。

火災保険の控除を活用できるケースもありますので、火災保険に加入している人はぜひとも知っておきたい知識です。

火災保険で受け取った保険金に税金はかからない!

火災保険で受け取る保険金は高額になるケースもあるため、保険金に対する税金の額は気になるところですよね。

しかし、安心してください。火災保険の保険金には原則として課税されません。国税庁のホームページにも「保険と税」に関して以下のように記載されています。

損害保険

損害保険金を受け取る場合も、保険料の負担者や支払原因によって課税関係が異なってきますが、保険を掛けていた方が建物の焼失や身体の傷害・疾病を原因として受け取る保険金には、原則として課税されません。

引用元:国税庁「保険と税

また、保険を掛けている人以下が受け取る場合、一般的に贈与税がかかります。しかし、火災保険の場合は上記と同様に、保険を支払っている人以外が受け取ったとしても原則として課税されることはありません。

火災保険が非課税な理由

日本損害保険協会によると、火災保険とは以下のように定義されています。

火災保険とは、どのような保険ですか?

火災保険は、火災だけではなく、風水災などの自然災害や、盗難などによって、「建物」や「家財」などに生じた損害を補償する保険です。

引用元:日本損害保険協会Q&A

税金は利益が生まれる場合に発生するものです。

しかし、火災保険は本来、自然災害や盗難等の事故によって生じた損害を補填するためのものであり、利益を生むためのものではありません。

したがって、火災保険で受け取った保険金は非課税となります。

万が一、利益が出てしまったら?

火災保険でもらった保険金額よりも修理金額が下回り、結果的に利益が出る(お金が余る)こともあるでしょう。

しかし利益が出た場合も同様に税金を支払う必要はありません。なぜなら、保険金を支払う際、保険会社は被害額をきちんと計算した上で、保険金額を決定しています。

認められた損害金額の範囲内で修理をした結果、保険金が余ったとしても、税務上の利益は発生していないという判断になり、税金を課せられることはありません。

火災保険と地震保険は年末調整で控除されるって本当?

火災保険から毎年10月ごろになると、損害保険会社から保険料控除のはがきが送られてきますよね。

このはがきを会社に提出することで、年末調整や確定申告で保険料控除を受けられることはご存知かもしれません。しかし、支払っている保険料すべてが年末調整の対象というわけではないことをご存知でしょうか?

ご自身の加入している火災保険で、どこまでが年末調整の対象となるのかを知っておきましょう。

そもそも控除ってどういう意味?

控除は「差し引く」という意味です。その年の収入額が多ければ多いほど、支払う税金は多くなりますが、「税額控除」とは支払う税金を減らすことができる制度です。

収入額に応じてかかる「所得税」や「住民税」などを本来の納税すべき金額から差し引きるので、税額控除を活用することで節税することができます。

火災保険は控除がない

残念ながら現在、火災保険には控除制度がありません。

しかし、2006年(平成18年)まで損害保険料控除という制度があったため、2006年12月31日以前に締結した火災保険には現在でも控除制度が残っています。これを「旧長期損害保険」と呼んでいます。

旧長期損害保険による控除額は以下の通りです。

区分 年間の支払い保険料合計 所得税の控除額 住民税の控除額
旧長期損害保険料 10,000円以上 支払金額 支払金額
10,000円超20,000円以下 支払金額+1/2+5,000円 支払金額+1/2+2,500円
20,000円以下 15,000円 10,000円

参照元:国税庁「保険と税」

年間支払保険料2万円が旧長期損害保険の限度額となり、所得税では最大15,000円、住民税では最大10,000円の控除を受けることができます。

地震保険は年末調整で控除される!

火災保険の中でも、現在の制度で保険料控除を受けられるのは「地震保険料」に対してです。2006年12月31日に損害保険料控除制度が廃止された一方で2017年1月1日に新たにできた控除制度が、この地震保険料控除です。

地震保険料控除も旧長期損害保険料と同様に、その年に支払った保険料の金額に応じて控除額が決定します。実際には、どのくらいの控除が受けられるのか以下の表で見てみましょう。

区分 年間の支払い保険料の合計 所得税の控除額 住民税の控除額
地震保険料 50,000円以下 年間の支払金額 年間の支払金額×1/2
50,000円以上 50,000円 50,000円×1/2

参照元:国税庁「保険と税」

地震保険料控除では、年間の支払保険料50,000円を限度に控除額が決定します。所得税は最大50,000円、住民税は最大25,000円の控除が可能となります。

MEMO
地震保険は、火災保険にセットして加入する必要があり、地震保険単体で加入することができませんので、地震保険に途中加入した場合、火災保険を加入している会社から控除証明のはがきが届きます。しかし平成19年(2007年)以降に加入した方は、火災保険を含めたすべての金額ではなく、地震保険の年間保険料50,000円以下のみが控除の対象となることを覚えておきましょう。

保険料控除を受けるために必要書類は?

年末調整や確定申告で保険料控除を受けるために必要な書類をそれぞれまとめています。

年末調整で必要なもの
  • 損害保険会社が発行する保険料控除証明書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
確定申告で必要なもの
  • 損害保険会社が発行する保険料控除証明書or電磁的記録印刷書面(e-taxの場合)
  • 国税庁のHPでQRコード付控除証明書(電磁的記録印刷書面の場合)
  • 確定申告書
  • 本人確認書類

地震保険料控除の申請手順

手順1
申告書に必要事項を記入する
給与所得者の場合は保険料控除申告書へ、自営業の場合は確定申告書に必要事項を記入します
手順2
保険料控除証明書を準備
損害保険会社が発行する保険料控除証明書(はがきか保険証券に付帯)もしくは電磁的記録印刷書面を準備しましょう。電磁的記録印刷書面は一般的に各保険会社のHPでダウンロードすることができます。
手順3
電磁的記録印刷書面の場合はQRコードを発行する
e-taxを利用している方は、電磁的記録印刷書面が必要となります。国税庁のHPが発行しているQRコードを取得しましょう。
手順4
準備した書類を提出する
給与所得者の場合は会社へ提出、確定申告の場合は税務署もしくはe-taxへ提出します
注意
年末調整は12月中に行われることが一般的ですが、確定申告は例年2月16日〜3月15日までの間で行います。また、万が一申請を忘れてしまっていた場合にも5年間は遡って申請することができます。

控除証明が送られてこない場合はどうしたらいい?

最後に年末になって控除証明が送られてこない!と焦ってしまうことがあるかもしれません。この場合のどうすればいいのか?その対処方法についてお伝えしておきます。

まず、火災保険と地震保険料控除をセットで契約した年の地震保険料控除証明書は、保険証に添付されています。今年契約した方は、保険証に添付されていないかを確認してみましょう。

加入2年目以降や、火災保険の途中で地震保険に加入した場合は、毎年10月頃にはがきで届くはずですが、万が一、はがきが届かない場合や紛失してしまった場合でも、控除証明書は再発行することができますので、慌てず保険会社へ連絡しましょう。

まとめ

火災保険を含む保険の制度では、原則として支払われた保険金に税金はかからないだけではなく、支払っている火災保険料(2006年以前の契約)や地震保険料の税制控除を活用することで、本来納めるべき税金を安く抑えることができます。

中には「なんとなく、毎年会社に損害保険会社から送られてきたはがきを提出していた。」という方もいらっしゃるかもしれません。これからはぜひ、控除の中身を知って上手に活用していってくださいね。