家に住む際、多くの人が当然のように「火災保険」に加入するでしょう。
しかし、加入した火災保険が「何に対して」「どんな時に適用されるのか」ご存知でしょうか?加入している火災保険の適用範囲を正しく知っておくことは、とても大切です。
とはいえ、そもそも「火災保険の適用範囲とは何か?」「どこまでカバーした火災保険に加入すべきなのか?」など、さまざまな疑問が浮かぶと思います。
本記事では、火災保険の適用範囲に関する疑問をわかりやすくお伝えします!ぜひ最後までご覧ください。
火災保険はどんな事故に備える保険なのか?
火災保険は「不測かつ突発的な事故」に対して幅広い範囲で補償適用となる保険です。
一般的に「火災保険」という名前から「主に火災を補償する保険」と連想する人が多いようです。しかし実は、火災保険は「火災」だけではなく、さまざまな不測かつ突発的な事故による被害に備えられる保険であることを覚えておきましょう。
知っておくべき火災保険のポイントは2つあります。
- ポイント①:どんな時に補償されるのか?(保険の適用範囲)
- ポイント②:何に対して補償されるのか?(保険の対象)
ここでは、上記のポイントである「火災保険が何に対して、どんな時に補償されるのか?」実際の適用例と一緒にご紹介します。
ポイント①:火災保険の適用範囲と適用例
火災保険の適用範囲は、火災はもちろんのこと、水災から盗難や破損まで幅広い補償範囲があります。
各損害保険会社によって内容は多少異なりますが、火災保険の範囲と具体的な補償の例をご紹介します。
補償内容 | 実際の補償例 |
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火災 ※地震が原因のものは除く |
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落雷 |
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破裂・爆発 |
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風災・ひょう災・雪災 |
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水災 |
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水濡れ |
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盗難 |
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汚損・破損 |
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上記補償内容は、加入時にカバーしたい補償範囲をご自身で決めることができます。
しかし、実際の火災保険加入時にはあらかじめ決められた内容で提案されることが多いため、補償範囲を選択できることを知らない方もいるかもしれません。
保険会社によって選択の自由度は異なりますが、補償内容は必要に合わせて選択できることも知っておきましょう。
ポイント②:火災保険の適用対象
火災保険の適用対象は「建物」と「家財」の2つに分類されています。
「建物」と「家財」それぞれに含まれる主な補償の範囲の具体例はこちら。
保険の対象 | 補償範囲 |
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建物 | 門・塀、物置、基礎部分、車庫、浴槽、調理台、床暖房、地デジ・アンテナ、便器、窓、屋根など |
家財 | テレビ、冷蔵庫、パソコン、テーブル、洋服、生活雑貨、カーテン、自転車、現金(盗難の場合)など |
火災保険の適用対象範囲を「建物」「家財」どちらか一方の補償にするか、もしくはその両方を補償の対象とするか。こちらも加入時に選択することができます。
家財の保険金額の適切な額を決めるには、家の中にある家財をすべて買い揃えた場合にかかる総額(再調達価格)を知ることが必要ですが、各家庭の家財再調達価格を自分で計算することは難しいため、各保険会社の年齢・家族人数による家財保険平均額を参考にすることも一つの方法です。
加入中の火災保険の適用範囲を知っておこう
加入中の火災保険の補償内容は、保険証券で確認できます。
もし保険証券が見つからない場合、加入中の保険会社さえ分かれば、加入保険会社のお客様相談ダイヤルをスマホかパソコンで調べ電話すれば、保険加入者の本人確認のみで証券番号、内容を教えてもらえます。
知っておくべき火災保険のポイント①「保険の適用範囲」とポイント②「保険の対象」の知識を知った上で、現在加入中の補償内容で充分にカバーできているか、もしくは必要以上に入りすぎていないか、など火災保険の適用範囲をきちんと把握することが大切です。
火災保険はどこまでカバーすべき?必要な適用範囲の見極め方
保険証券を確認してみると、「火災保険で補償範囲を選択できるなら、実際にはどこまでの補償範囲を選択するすべき?」あるいは、「保険料が高くてもすべて補償範囲にする方が安心?」などさまざまな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
結論からいうと、すべてカバーできる補償範囲に加入した方が安心です。火災保険は、予測不能な突然起こる事故に備えるための保険なので、補償の範囲は広く手厚い方がよいのは明らかでしょう。
しかし、一般的に適用範囲が広く、手厚い保険になればなるほど保険料は高くなります。将来の生活を守るための火災保険が今の生活費を圧迫しては、本丸転倒ですよね。
そこで、火災保険は必要性の高い補償を選択して加入することをおすすめします。
居住地域のリスクから適切な補償の適用範囲を選択しよう
必要性の高い補償を選択するためには、各市町村や国土交通省が発表しているハザードマップを利用することが有効的です。
【ハザードマップで想定できる被害内容】
- 津波(水災)
- 洪水(水災)
- 土砂災害(風災・雪災・水災)
ハザードマップでは、居住エリアの地図を確認することで水災時の想定被害を知ることができます。被害確率が高いエリアに住んでいる場合は、補償を手厚くしておくことがおすすめです。
一方で、ハザードマップからリスクが極めて低い災害は、適用範囲から外すことで、保険料を安く抑えることが可能になります。
このように、居住地域で起こりうる想定可能なリスクを事前に把握しておき、特に必要な災害や被害に対しては補償を手厚く、必要のないものは外すといった「適用範囲の選択」を行うことで、高リスクの被害に備えつつ無駄のない火災保険に加入できます。
その他にも、高層マンションに住んでいる場合、床下浸水のリスクは低いため、「水災」は対象から外すことが一般的。木造構造が並ぶエリアでは火災発生確率がより高い。など、損害保険会社がもつ過去の統計結果から、補償の必要性を測ることもひとつです。
家財も加入することでより安心の火災保険に!
火災保険を加入する際、どうしても「建物」の補償をメインに考える傾向にありますが、4人家族が持つ家財を再調達した場合の平均価格は「約700〜1700万円」といわれています。
家財に含まれる家電製品や洋服などすべてを一から揃えると、とても高額になるため、「家財」を対象とした火災保険の加入を考えることも重要です。
「家財」にはパソコンやテレビなどの高額な電化製品も適用範囲に含まれるので、コーヒーをこぼしてパソコンが壊れた場合、子どもが室内で遊んでいて電化製品を壊したなど「汚損・破損」に対する補償の支払い事例は多くみられます。
特に、小さなお子様がいる家庭では、「家財」を対象にしておくことをおすすめします。
火災保険の対象は「家財」も加えることで、自然災害のみならず、盗難によるモノや現金の補償など、より広い適用範囲で安心です。
しかし、適用範囲が広がる分「建物」のみの補償に比べると、保険料も高くなります。「家財」を付けた場合と外した場合の見積もりを比較した上で、加入を検討するのも良いでしょう。
まとめ
火災保険は、被害額が大きい傾向にあるため、日々安心して暮らすために必要不可欠な保険であるといえるでしょう。
これまで当たり前に加入してきたからこそ、火災保険の「適用範囲」に疑問を持ったことがなかったかもしれません。しかし、火災保険はとりあえず加入していれば良いものではありません。
例えば、水災リスクが極めて高いエリアで「水災」に加入していないのであれば、今すぐにでも見直すことが必要でしょう。このように、火災保険は、適切な範囲で適切な補償されていることが大切です。
そのためにもまずは、加入中の保険がどこまで補償されているのかを知ることからはじめましょう。本記事を参考にいま一度、本当に必要な火災保険の補償を見極め、適切な適用範囲の見直しに役立てていただけると幸いです。