近年猛威をふるう自然災害。
ここ数年、毎年のように大きな台風が発生し、甚大な被害をもたらしています。
台風被害は、もう他人事ではありません。
建物の外にある構造物は特に被害を受けやすく、バルコニーやベランダは、被害が多い箇所のひとつです。
台風でバルコニーやベランダに被害を受けた場合、火災保険を使うことはできるのでしょうか?
台風被害によるバルコニーやベランダの修繕費用は火災保険が使える
台風によってバルコニーやベランダに被害を受けた場合は火災保険の補償対象です。
- 台風でベランダの屋根が飛んだ
- 台風でルーフバルコニーの屋根が破損した
- 台風でバルコニーの雨樋が破損した
など、台風が原因の損害は、火災保険「風災被害」の補償対象です。
「火災保険」というと、火災のときしか使えないイメージがありますが、自然災害も補償されます。
自然災害によってバルコニーやベランダに被害を受けた場合は、火災保険の加入内容を確認して申請をしましょう!
【自然災害】火災保険の補償 | 主な内容 |
風災・雹災・雪災 | 台風、突風、竜巻、強風などによる被害、 雹(ひょう)による被害、大雪による被害など |
水災 | 台風や大雨で発生した洪水での床上浸水被害、 高潮による外水氾濫での床上浸水被害、 大雨や台風で発生した土砂崩れの被害など |
地震 | 地震による火災被害、 地震による倒壊被害、 地震による津波被害、 地震による洪水被害、など |
【自然災害による被害】火災保険を申請するときに気をつけたい3つの基本条件
火災保険を申請する際、気をつけたいポイントが3つあります。
- 被害から3年以内であること
- 自然災害や不測かつ突発的な事故による被害であること
- 損害費用が免責金額を超えていること
これらのポイントについて、ご説明します。
被害から3年以内であること
火災保険申請には期限があります。
被害から3年以内です。
3年という期限は保険法により定められており、3年の期限はどこの保険会社も共通です。
保険法 第五章(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
引用:保険法
なお、3年以内であれば、すでに修理をしてしまった場合でも申請することができます。
ただし、被害時の写真や見積もり、修理時の領収書、場合によっては罹災証明書など被害にあった証明が必要になりますので注意してください。
3年以内に、台風被害による修繕をした方は、契約している保険会社に一度問い合わせしてみましょう。
自然災害や不測かつ突発的な事故などによる被害であること
火災保険の対象は、自然災害や不測かつ突発的な事故による被害です。
故意的または重大な過失によって生じた損害や、経年劣化や老化による損害は補償の対象外となります。
注意を怠ったことによる損害や、不具合を指摘されていたのにも関わらず対応しなかった末に生じてしまった損害などは、申請しても保険金は支払われません。
注3 重大な過失
「重大な過失」に相当するかどうかは、個々の案件ごとに判断されます。「重大な過失」とは、常識的な注意ではなく、少し注意すれば事故が起きなかったのに漫然と事態を見過ごしてしまった場合のことです。例えば以下のような場合が、重大な過失によって損害が発生したケースであると考えられています。また、軽度な過失であっても、それが2度目となると重大な過失に該当するという考え方もあります。
- 台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中、その場を離れて出火させた場合
- たばこの吸殻が完全に消えたことを確認せず、その吸殻を紙類が入ったビニール製ごみ袋に入れて放置したまま外出し、出火した場合
- 漏電の可能性があり回線修理等の指摘を受けたが、適切な措置を講じなかったため、漏電により出火した場合 など
引用:日本損害保険協会
損害費用が免責金額を超えていること
免責金額とは修理費用のうち、契約者が負担する自己負担額のことです。
免責金額の設定には、フランチャイズ方式とエクセス(免責)方式という2つの形式があります。
フランチャイズ方式は、一定の金額を超えた場合に全額保険金が支払われるというものです。
エクセス方式は、設定した免責金額を自己負担するものです。
昔は設定金額20万円のフランチャイズ方式が標準でしたが、現在はエクセス方式を採用している保険会社もあるため、加入している保険の免責金額はどちらのタイプか確認しておくことをおすすめします。
【例】フランチャイズ方式(免責20万円)、エクセス方式(免責5万円)の場合
損害額 | フランチャイズ方式 | エクセス方式 |
5万円 | 自己負担金 5万円 保険金 0円 |
自己負担金 5万円 保険金 0円 |
30万円 | 自己負担金 0円 保険金 30万円 |
自己負担金 5万円 保険金 25万円 |
バルコニーやベランダの台風被害!火災保険請求の流れ
申請は、基本的に契約者本人が行うものとされています。
被害にあった場合におこなう火災保険請求の流れはこちら。
- 被害状況の確認、被害箇所の撮影
- 保険会社に連絡
- 被害箇所の見積もり
- 必要書類の送付(必要であればその後保険会社から調査が来ます)
- 保険金入金
まず第一に被害箇所の写真は何枚か撮っておきましょう。
保険会社への連絡と被害箇所の見積もりは並行しておこなっても問題ありません。
保険会社から送られてくる書類に記入、必要書類を揃えて送付し、承認がおりたら保険金が支払われるという流れになります。
こちらの記事に詳しい申請手順などが書いてあります。
マンションの場合バルコニーやベランダの被害修理は規約によって補償されない場合もある
分譲マンションの場合、バルコニーやベランダは共用部分としての扱いになるため、注意が必要です。
マンションのバルコニーやベランダは専用使用権付共用部分である
マンションなど共同住宅の場合、バルコニーやベランダは「専用使用権付共用部分」という位置づけになります。マンションの部屋の中の居住空間など、人と共有せずに独占できる部分を専有部分といい、マンションの皆で共有するスペースや設備を共用部分といいます。
マンションの駐車場や各住戸に接するバルコニーや専用庭のように、敷地や共用部分でありながら、通常特定の区分所有者だけが専ら使うことができて、その他の者は使うことができない部分のことを「専用使用権付共用部分」といいます。
専用使用権付共用部分に関しては、マンションによって管理規定が違うため注意が必要です。
管理組合が修繕費用を負担してくれる場合と、専用使用権を持つ区分所有者が修繕費用を負担しなければいけない場合があります。
マンションの管理規約に記載してあるため、どちらかわからない場合は一度確認をしてみましょう。
「専用使用権付共用部分の小規模修繕は区分所有者が負担」と記載されている場合は加入している保険を見直そう
「専用使用権付共用部分の小規模修繕は区分所有者が負担」と記載されている場合は、個人で修繕費用を負担する必要があります。
基本的に火災保険契約の際に伝える面積にバルコニーやベランダなどの共用部分は含みませんが、保険会社によっては、バルコニーやベランダも補償内容に含めているところもありますので、一度加入している契約の確認をおすすめします。
補償内容にバルコニーやベランダが含まれていない場合は「バルコニー等専用使用部分修繕費用特約」の加入を検討しましょう。
【まとめ】台風被害にあったら早めに火災保険を申請しよう
台風やその他自然災害でバルコニーやバランダに被害があった場合、火災保険が使用できることが分かりました。
戸建ての場合は、3年以内に申請をし自然災害の被害だと認められれば火災保険を使って修理をすることができます。
マンションの場合も申請期限は変わりませんが、マンションの場合は共用部分の扱いになるため、バルコニーやベランダに被害があった際、管理組合が負担をするのか区分所有者が負担をするのかあらかじめ調べておく必要がありますね。区分所有者が負担の場合は、火災保険を一度見直してみましょう。
台風の被害にあった直後はいろいろな処理に追われ忙しいと思います。
すぐに申請しなければいけないわけではありませんが、期限があることを忘れないようにしましょう。
自分ですべて調べて申請するのももちろん良いですが、被害箇所の申請漏れが無いよう、申請サポート専門業者に依頼するのも、ひとつの手段です。
火災保険は請求金額に上限はありますが、何回使用しても保険料があがるものではないので、台風など自然災害で被害にあった場合は期限切れにならないうちに早めに申請をしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。